大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和24(れ)2611 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人宮本正美の上告趣意第一点について。

原判決は、被告人は、判示のごとき共犯者等と共謀の上、本件強盗の所為に及ん

だ事実を認定したのであつて、かくのごとき場合には、たとえ被告人自身は、その

現場において暴行脅迫等の所為をしなかつたとしても、他の共謀者のした強盗の実

行々為について、被告人もまた、共同正犯の罪責を免れないのであるから、原判決

は、本件強盗の現場における被告人の行動については、何ら具体的に判示するとこ

ろはないけれども、他の共犯者の強盗の所為について具体的に判示している以上、

被告人に対する所論「罪トナルベキ事実」の判示として欠くるところはないものと

いわなければならない。論旨は理由がない。

同第二点について。

原判決挙示の証拠ことに、原審公判調書における被告人の供述によれば、被告人

は原判示のごとき共犯者と共謀の上本件強盗に及んだ事実を認定することができる。

所論は畢竟原審の裁量に属する証拠の取捨判断を非難するに帰着するのであつて、

上告の理由として採用することはできない。

同第三点について。

被告人は、原審公判において、他の共犯者と共謀の上本件強盗に及んだ事実を供

述しているのであつて、被告人が原審において本件被告人の所為は強盗罪の従犯で

ある旨の主張をした形迹は認められない。次に他の共犯者に強要され又は欺計によ

つて、やむなく、強盗に参加したもので犯意を阻却するものであるとの主張は、原

審弁護人が単に犯情として述べたか或は犯意の存在を否定したものに過ぎないこと

は、原審公判調書の記載に徴し明らかであつて、かかる主張は、旧刑訴第三六〇条

- 1 -

第二項にいわゆる「法律上犯罪ノ成立ヲ阻却スヘキ原由タル事実上ノ主張」に該当

しないものである。従つて原判決に所論のような違法ありとすることはできない。

論旨は理由がない。

よつて刑訴施行法第二条、旧刑訴第四四六条に従い主文のとおり判決する。

右は、全裁判官一致の意見である。

検察官 十蔵寺宗雄関与

昭和二五年二月一〇日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!